《ふしぎ工房症候群 妹の遺言》5

ふしぎ工房症候群 

《妹の遺言 》

CAST：岸尾大辅

6．家出

     12月も半ばに差し掛かった寒い晩、仲間がしくじった、万引きの現場を巡回中の私服警官に抑えられたのだ、警官はほかにもたくさんいた、仲間のほとんどがぱくられ、僕は逃走した。やばい、連中は必ず口を割る、そうなったら、もうお仕舞だ。警官が家にやってきて、妹にばれてしまう、妹をあの家に置いたまま、僕は施設か何かに入れられてしまう、もう妹の顔を見ることも、妹を守ることもできなくなってしまう。どうすればいい、僕はどうすればいいんだ。無我夢中で走っていたら、家の灯りが見えた、もう何日も帰っていない家、何んの考えも浮かばないまま近づくと、門の外に立っている、妹の姿に気づいた、体を震わせている、気温は相当低い、慌てて駆け寄った。どうしたんだ、こんな夜遅くに、何かあったのか？妹はただ首を振った、それがどういう意味か分からずに、僕は畳み掛けるように聞いた。分かった、苛められたんだな、家の連中に、それで追い出されたんだな。妹は涙を溜めた目で、首を振るばかりだった、僕の勘違いは膨張した。あいつら、許さない、躍如して家の中に飛び込もうとしたが、強く引っ張られて、僕は一瞬立ち止まった、見ると、上着の袖を妹が必死に握っている、こんな小さい妹が、と思うほどに強く握っている、僕はここで初めて気づいた、妹の服装に。最初にこの家にやってきたときの、あのぼろ服だった、もう小さくなって、きつきつになっている、僕は慌てた。どうして兄ちゃんの買ってあげた服を着ない、なぜ靴をはかない、嗜めるつもりはなかったが、つい口調が強くなった、すると妹が消え入りそうな小さな声で、もう新しい服いらない、お兄ちゃんの買ってくれるもの、何もいらないと言った。どうして、狼狽する僕に、妹は抱きついて、泣きじゃくった、そして、お兄ちゃんがいないなら、もう何もいらないと。衝撃が走った、震えが止まらなかった、妹はこの寒空の中毎日こうして僕の帰りを待っていたのだ、妹をぎゅっと抱きしめると、僕は嗚咽した、ごめん、ごめんよ、兄ちゃんが悪かった。僕は声を上げて泣いた、妹も泣いた、そうだ、妹がほしかったのは新しい服でも、靴でもない、父親も母親もいなくなり、たった一人になった肉親の僕にそばにいてほしかっただけなんだ。そんな当たり前なことを忘れて、金欲しさに盗みを働き、グループのリーダーになって、有頂天になり、挙げ句に大切な妹を一人ぼっちして悲しませた、僕は馬鹿だ、おお馬鹿野郎だ。僕が立ち上がると、妹の手を取った。行こう、兄ちゃんと一緒に、妹はうんと言って笑った、久々に見る妹の愛らしい笑顔だった、僕たちはそのまま夜の闇に姿を消した、もうここには二度と戻ってこないだろう、そう考えていた。

06-家出

   接近12月中旬的寒冷夜晚，同伴失手了，偷盗现场被巡逻的警察抓住，有很多警察在场，大多数同伙都被逮捕了，我逃走了。糟糕，同伴肯定会招供的，那样的话就一切都完了，警察会到家里来，会被妹妹发现的。把妹妹留在那样的家里，我会被送到管教所之类的地方，不能再见到也不能再保护妹妹了。怎么办，我要怎么办才好？忘我地奔跑，看见了家里的灯光。什么也没想，走近好几天没回的家，发现了站在门外的妹妹的身影。

妹妹的身体在发抖，体温相当低，我急忙跑过去“怎么了，这么晚了……发生什么事了么？”妹妹只是摇了摇头。不明白那是什么意思，我一个劲地说道“明白了，被家里人欺负了是么？所以被赶出来了？”妹妹含着眼泪，只是一味地摇头。我的误解更加深了“那些家伙，不可原谅！”我气得头脑发昏，正想冲进屋里去，却被用力拉住，在那一瞬间停了下来。回头看，外套的袖子被妹妹紧紧地拉着。虽然是这么小的妹妹，却用力拉着。我这时才刚注意到妹妹穿着的衣服是一开始来到这个家里是的那件破旧衣服，已经变小，变得紧了。我着急了，“为什么不穿哥哥给你买的衣服？为什么不穿鞋子？”原本没打算责备，不由得口气变重了。妹妹用轻得几乎听不见的声音说“已经不需要新衣服了，哥哥买的东西什么都不需要了。”“为什么？”妹妹抱着狼狈的我，抽抽搭搭地哭了起来，说道“哥哥不在的话，什么都不需要了。”

  我受了巨大的刺激，一直不住地颤抖，妹妹每天都在寒冷的夜晚里这样等着我回来。紧紧地抱住妹妹，我，哽咽了。“对不起，对不起。是哥哥不好。”我放声大哭，妹妹也哭了。是啊，妹妹想要的不是新衣服也不是鞋子，父母都不在了，她只是希望作为唯一血亲的我能够一直陪在她身边而已。连这么理所当然的事都没有察觉到，我为了钱而偷盗，因为成了团伙的头目而高兴得忘乎所以，却让重要的妹妹一个人伤心。我是笨蛋，大笨蛋。我站起来，拉起妹妹的手“走吧，和哥哥一起。”妹妹说了声“恩”，然后笑了。

  那是好久没见的妹妹可爱的笑容。我们就这样消失在了黑夜里，想着“已经不会再回到这里来了吧”