《ふしぎ工房症候群 妹の遺言》9

ふしぎ工房症候群 

《妹の遺言 》

CAST：岸尾大辅

10．宣告

    妹が突然倒れた、学校から救急車で運ばれ、連絡を受けた僕と養父母が病院に駆けつけると、妹は病室のベッドの上ににちょっこんと座り、ただの貧血なの、と申し訳なさそうに笑った。そうか、びっくりした、よかった、ただの貧血で。ホット胸を撫で下ろしていると、妹が心配かけちゃってご免ねと言った。とにかくゆっくり休んだぞと言いふくめたところで、僕たちは主治医に呼ばれて、席を立った、そして主治医から告げられた事実に言葉を失った。急性骨髄性白血病、発見が遅れたため、余命半年と宣告された。そんなばかな、先生、何かの間違いでしょう？僕は主治医に詰めおった、しかし、主治医は首を横に振るだけだった、養父は唇を噛み締めている、その横で養母が泣き崩れた。僕は頭が混乱して、どうしていいか分からずに、ただうろたえた、そんな、妹が白血病なんて、しかも半年しか生きられないなんて、うそだ、そんなの絶対うそだ、うそだ！僕はそう叫んで病院を飛び出した、妹との幼いからの思い出が頭の中をぐるぐる回る、妹の笑顔がぐるぐる回る、それを振り切るように、僕はがむしゃらになって、街中を走りぬけた。心臓が破裂しそうになって、これ以上走れないと、立ち止まったところで、奇妙な看板を発見した、戸板に筆で殴り書いたような文字で、ふしぎ工房と書かれてある、なぜだかそこ看板に目を奪われていると、足元で黒猫がにゃーと鳴き、その瞬間に脳裏にある光景が蘇った、そうだ、見覚えがある、あの時はろくに見ていなかったが、この看板も、引き戸も、家のたたずまいも、そしてこの猫にも、確かに見覚えがある。あの時、妹を抱えて駆け込んだ、老人が言った、老人に言われて養父母に出会った、養父母の家の前にあるはずのこの家は気づくとなかった、養父母もそんな建物は知らないと言っていた。だから、あれは夢だと思い込んでいた。僕は引き戸を急いで開けると、中に飛び込んだ。がらんとした倉庫のような部屋の中央に、ぽつんと大机に座っている老人の姿が見えた。僕は一気に駆け寄って、懇願した。お願いします、妹を、僕の妹を助けてください。すると頭の上から確かにあの時と同じ、老人の声が聞こえた。承知しました。涙ながらに顔を上げると、老人は紙と鉛筆を差し出しだ。これにあなたのお名前と住所、そして注文をお書きください。注文という言葉に少し引っ掛かったが、ためらい余裕もない僕はそこに妹を助けてくださいと書き込んだ。では、これを。老人は控えと請求書と書かれた封筒を差し出した。後払いの成功報酬となっております。報酬が必要なのか、そんなものいくらだって払ってやる、ありがとうございました。僕はそれをズボンのポケットに押し込むと老人に一礼して、ふしぎ工房を後にした。これで妹は助かる、僕は全力で病院へと駆け戻った。病院へ戻ると、心配顔で待っていた養父母から骨髄移植の話を聞かされた。血縁者の場合の適合率は25％と低く、養父母は年齢的に対象とならないということだ、僕は神にも祈る思いで検査に臨んだ、結果は不適合と出た。そうなると、骨髄バンクの適合ドナーを待つしかない、しかし、ドナー登録者は圧倒的に不足していたし、適合の確率は非常に低く、移植を行うまでに数カ月から一年かかると説明された。間に合わないかもしれない、僕はその思いをすぐさま振り洗った、大丈夫、ドナーはすぐに見つかる、妹は必ず助かる、一度僕たちを助けてくれたあの老人が約束してくれたんだ。

10-宣告

  妹妹忽然倒下了，被救护车从学校送到医院，接到消息的我和养父母跑到医院，妹妹在病床上拘谨地坐着，好像感到抱歉似地笑着说：“只是贫血而已。”“这样啊，吓死我了，太好了，只是贫血。”我终于松了一口气。妹妹说：“对不起，让你们担心了。”再三嘱咐她好好休息后，我们被主治医生叫去了。

  随后，对于主治医生宣告的事实，我们都失去了言语。急性骨髓性白血病，因为发现的晚，被告知只剩半年的生命。“这么荒唐的事，大夫，肯定哪里搞错了吧！”我追问主治医生，然而医生只是一味地摇头，养父咬着嘴唇，在他身边，养母已哭倒在地，我脑中一片混乱，不知道该怎么办才好，手足无措。“妹妹是白血病甚至只能活半年什么的，是骗人的，这一定是骗人的。骗人的！”

   我这样叫着跑出了医院，幼年开始的记忆在脑海中盘旋，妹妹的笑容也在眼前不停旋转，为了摆脱这些，我不顾一切地在街上狂奔，心脏像要破裂一般再也跑不动的时候，我停了下来，发现一块神奇的告示牌，上面用潦草的字迹写着“不可思议工房”。不知为何，在我的视线被这块牌子吸引住的时候，脚边的黑猫“喵”地叫了一声，这时我的脑海中回想起了某时的情景，确实有印象，虽然当时没有注意看，这个门牌，拉门，房子的样子，还有这只黑猫也确实有看到过的印象。那时候抱着妹妹跑了进来，老人也在，听从老人的指示而遇到了养父母，应该在养父母家前面的这座房子，等我意识到的时候已经不见了，养父母也说不知道有这样的房子，所以我一直以为那只是一个梦。我急忙打开拉门，冲进里面去，空荡荡的好像仓库一样的房间中央，看到老人孤零零地坐在大书桌前，我赶忙跑过去向他恳求，“拜托了，妹妹，请救救我的妹妹。”此时，和那时候一样，我确实从上方听到了老人的声音，“明白了。”流着泪抬起头，老人把纸和铅笔递给了我，“在这里写上你的名字，地址和定货要求。”听到定货要求这个词，我稍有些疑惑，没有时间犹豫，我在那里写上了：“请救救我妹妹。”“那么请拿着这个……”老人把存根和上面写着“申请书”的信封交给我，“这是为了收取事情办成以后的报酬。”“需要报酬么，那种东西多少钱我都付。”“非常感谢。”我把信封塞进裤子后面的口袋，向老人行了一个礼，离开了不可思议工房。这样妹妹就能得救了，我用尽全力跑回医院。

  回到医院后，从焦急等待着的养父母那里听说了骨髓移植的事，有血缘关系人相匹配的可能性也只有25%，养父母因为年龄太大不能捐赠，我向神祈祷着接受了检查，可结果却是不匹配。这样的话就只有等待骨髓库中合适的捐赠者了。然而登记捐赠的人数严重不足，匹配的概率也微乎其微，医生向我们说明等待捐赠的过程可能要几个月甚至一年。可能会来不及，但是我马上抛开了这样的想法。没关系，捐赠者很快就会找到的，妹妹肯定会得救，因为曾救过我们一次的老人已和我做了约定。